葬儀で使う「出席」と「参列」に違いはある?正しい表現を学ぼう
冠婚葬祭のときには普段使わない言葉が多く使われるものです。中には似た意味の言葉もあるため、混乱してしまう人も多いのではないでしょうか。そこで今回の記事では、とくに「出席」「参列」「列席」の違いを解説しました。参列と似た意味の「弔問」も解説しているので、いざという時にマナー違反とならないように備えたい人は参考にしてください。
「出席」「参列」「列席」の違い
行事に招かれており、その場所に自分の席が用意されているときに使う言葉が「出席」です。学校の入学式や授業では、その場所にいることに意味がありますが、このようなときにも使われます。葬儀の場面では、関係者の1人として式に参加している状態のことを指すようです。
「参列」は葬儀に招かれた人が使う言葉ですが、出席を丁寧にいい変えた表現なので、相手に敬意を表したいときに使います。近年葬儀で参列と表現することが多くなっていますが、もともと「式などに参加する」という意味ですから、結婚式でも利用可能です。
「列席」には「式に出る」との意味があり、参列と言葉の意味そのものは変わりませんが、使い方に注意してください。招かれた人が使う言葉は参列ですが、主催する人が使う言葉が列席なのです。そのため葬儀では、喪主側が挨拶などで用いる場合が多くあります。
参列と似た意味の「弔問」
弔問の意味や行うタイミング
葬儀のときに使う言葉で「弔問」がありますが、これは遺族を訪問してお悔やみの言葉をかけることを意味します。通夜や告別式に行けなかった人が後日弔問する例が多く、義務ではありません。弔問のタイミングは、四十九日頃までだといわれています。
遺族は葬儀や告別式が終わったばかりのときは忙しく、葬儀から時間が経過しすぎていればお迎えの準備が負担になるからです。遺族が気持ちを落ち着かせながら生活をしているときに、悲しみを増やさないようにするとの気配りもあります。しかし、必ず四十九日までに行わなければいけないわけではありません。弔問が遅れる事情があるときは、あらかじめ遺族に相談してください。
通夜前の弔問での持ち物について
弔問を通夜前に行うときは香典を持たず、通夜や葬儀などのときに持参します。参列できないときの方法として、郵送でお悔やみの手紙と香典を一緒に送ることも可能です。ほかに通夜前の弔問で不要なのは、手土産や花、供物があります。
後日の弔問での持ち物について
香典を持参するのは、通夜・葬儀・告別式に参列できなかった人です。香典の表書きは四十九日までとそれ以降で決まっており、基本的に前者は「御霊前」、後者は「御仏前」と書きます。しかし表書きの書き方は宗派によっても異なるので、失礼にならないよう注意してください。手土産は必要ないといわれていますが、供物として果物や花、お菓子などを持参しても問題はありません。
弔問での供花のマナーについて
花を持って行く場合は、メインに白を使っている落ち着いた色のアレンジメントにしましょう。花を持って行くのが四十九日以降の場合は、淡い色味の花を使った供花をアレンジメントにするのもおすすめです。供花は「きょうか」とも「くげ」とも読み、故人に供える花を指します。お悔やみの花としておすすめしないのは、バラのようにトゲがついているものです。しかし故人がバラを好きだったなど理由がある場合は、遺族に事情を話してお供えするのもよいでしょう。
故人との関係による弔問の方法
通夜前に自宅に弔問するのは、3親等までの親族が目安といわれています。生前に関わりがあった親族の場合、逝去した直後に連絡を受けることが多いので、故人と同居していた家族に都合を尋ねてください。3親等ではない関係でも、親しい間柄であったり家が近かったりする場合は、通夜前の弔問が向いている可能性があります。
故人と深い交流のあった友人や知人なら、通夜前に弔問したいと考える人もいますが、大事なのは遺族の気持ちです。逝去した経緯が不明なときは、とくに慎重に行動してください。弔問のときに死因や逝去したときの様子を口にするのはマナー違反ですから、状況がわかってからどのような手伝いが可能なのかを考えましょう。生前の故人とどれほど仲がよくても、最低限のマナーが必要です。
葬儀以外での「参列」の使い方
参列という言葉は、葬儀の場面に限定されたものではありません。結婚式でも参列と列席は区別されています。結婚式に来てもらう側の場合は「列席」を使い、ゲストとして出席する場合は「参列」を使いましょう。また、呼ばれたゲストの中の1人という意味で、スピーチを依頼された人が「参列」を使います。司会者は結婚式に来てもらう側だと考えられており、列席を使うことが多いようです。結婚式の返信ハガキを送るときには、参列を使います。これに対して列席は新郎新婦から結婚式に来てくれたゲストに対して、感謝の言葉を述べるときに使うのです。
葬儀で使う言葉の解説をしました。言葉の違いは細かい内容ですが、冠婚葬祭のことは宗派によっても異なるため、あらかじめ宗派を確認してください。前もってチェックしておけば難しいことではないでしょう。